ポケカだらけの浦島太郎

57pt   2017-04-18 00:43
ぽけみて。

むかしむかし、ある村に、心のやさしい浦島太郎というカードゲーマーがいました。
浦島は毎日すごいつりざおでトラッシュから魚をレスキューして
朝から晩までジムバトル漬けの酒池肉林の毎日を過ごしていました。

ある日浦島がカードショップ「海辺」を通りかかると、
子どもたちが大きなカメックスURをシングルで買い叩いていました。
浦島はたまらず宣言。
「おやおや、かわいそうに、逃がしておやりよ。カードショップでのマナーがこうも悪いと我々カードゲーマーの評判がまた一段と下がる」
「いやだよ。おらたちが、やっと捕まえたんだもの。どうしようと、おらたちの勝手だろ」
見ると店員は涙をハラハラとこぼしながら、浦島を見つめています。
浦島はお金を取り出すと、子どもたちに差し出して言いました。
「それでは、このお金をあげるから、おじさんにカメを売っておくれ」
「文言が辛い。でも、それならいいよ。少し足らないからテテフも頂戴」
こうして浦島は、子どもたちからカメックスUR(レギュ落ち)を受け取ると、
「大丈夫かい? もう、捕まるんじゃないよ」
と、カメをそっと、カードストレージの中へ逃がしてやりました。


さて、それから二、三日たったある日の事、
浦島が海に出かけてトラッシュを相手にバレないように漁っていると、
「……浦島さん、……浦島さん」
と、誰かが呼ぶ声がします。
「おや? 誰が呼んでいるのだろう?」
「わたしですよ」
 すると海の上に、ひょっこりと店員が頭を出して言いました。
「このあいだは助けていただいて、ありがとうございました」
「いや、あなたではないですが」
「はい、おかげで命が助かりました。ところで浦島さんは、竜宮(りゅうぐう)へ行った事がありますか?」
「竜宮? さあ? 竜宮って、どこにあるんだい?」
「海の底です」
「えっ? 海の底へなんか、行けるのかい?」
「はい。募集開始日に締め切りですが、厳選な抽選です。
わたしがお連れしましょう。さあ、背中へ乗ってください」
「いやですよ…店員さん、僕を乗せてどうするんですか?」
「スペースの料金は1パック以上の購入か100円でお願いします」
「話聞いてくださいよ。どうするんだって聞いてるんです」
「バトルスタート!」
店員は浦島を背中にセットアップすると、海の中をずんずんともぐっていきました。

 海の中にはまっ青な光が差し込み、昆布がユラユラとゆれ、赤やピンクのサンゴの林とあと何故かカードショップがどこまでも続いています。
「わあ、一部を除いて本当にきれいだな」
浦島が脇目も振らずサーチしていると、
やがて立派な幕張メッセに着きました。
「着きましたよ。このとても大きく何号館か言われてもにわかには把握できない建物が竜宮です。さあ、こちらへ」
「海浜幕張駅から近いんですね」
店員に案内されるまま進んでいくと、
この竜宮の主人の美しい乙姫(おとひめ)さまが、
壁には色とりどりにカラーコピーされたシェイミやテテフたちと一緒に浦島を出迎えてくれました。
「ようこそ、浦島さん。わたしは、この竜宮のオーガナイザーであり、厳正なるジャッジです。このあいだは店員を助けてくださりましたが、今回のチャンピオンズリューグでは一切容赦いたしません。バトルスタート!」
浦島は、竜宮の広間ヘ案内され、そして携えたデッキを腰から取り出しました。
浦島が用意された席に座ると、店員たちがガンスリンガー形式で対戦を申し込んできます。
ふんわりと気持ちのよい音楽が流れてはいるものの、
先1テテフミツルオーロットや後1フェザーアローブルブルパンチと
それは見事なぶん回りが続きます。
対するこちらはまったくサポートが引けず、
ここはまるで、逆に天国のようです。
そして、
「もう一戦お願いします今回回らなかったので」
「もう一戦お願いしますちょっと試したいことがあるので」
と、色濃い対戦や1パックテテフなどの開封を楽しみ、乙姫さまたちに言われるまま竜宮で過ごすうちに、三年の月日がたってしまいました。


ある時、浦島は、はっと思い出しました。
(家族や友だちは、どうしているだろう?)
そこで浦島さんは、乙姫さまに言いました。
「乙姫さま、今までありがとうございます。ですが、もうそろそろ家へウルトラロード」
「今さら?いいえ、認めません。かげぬい宣言中です」
「いいえ、レンジャーを使っておりますので」
 すると乙姫さまは、さびしそうに言いました。
「……そうですか。それはお名残惜しいです。では、おみやげに強化拡張パックを差し上げましょう」
「強化拡張パック?」
「はい。この中には、浦島さんが竜宮で過ごされた時に得た大切なものが入っております。
ですが一度開けてしまうと、それらがすべて無くなってしまいますので、決して開けてはなりませんよ」
「そんな懇切丁寧にイエスワンダータッチ。はい、わかりました。ありがとうございます」
 乙姫さまと別れた浦島は、シャカパチしつつ余韻に浸りながらまた店員に送られて地上へ帰りました。

地上にもどった浦島は、まわりを見回してびっくりとびだすなかみ。
「おや? わずか三年で、ずいぶんと様子が変わったな」
確かにここは浦島さんがジムバトルをしていた場所ですが、何だか様子が違います。
浦島の家はどこにもファイトアローンですし、出会う人もカーリーヘアで知らない髪型ばかりです。
「わたしの家は、どうなったのだろう? みんなはどこかへ、引っ越したのだろうか? ……あの、すみません。浦島の家を知りませんか?」
 浦島さんが一人の老人に尋ねてみると、老人は少し首をかしげて言いました。
「浦島? ……ああ、確か浦島という人なら七百年ほど前に海へ潜ったきりで、スカイリターンできなかったそうですよ」
「えっ!?」
老人の話を聞いて、浦島は思わずスチームアップ。
竜宮の三年は、この世の七百年にあたるのでしょうか?
「家族も友だちも、みんな死んでしまったのか……」
がっくりと肩を落とした浦島は、ふと、持っていた強化拡張パックを見つめました。
「そう言えば、乙姫さまは言っていたな。
この強化拡張パックを開けると、竜宮で得た大切なものが入っているが、それが無くなってしまうと。……もしかしてこれを開けると、自分が竜宮に行く前に戻れるのでは」
 そう思った浦島は、開けてはいけないと言われていた強化拡張パックを開けてしまいました。


モクモクモク……。
中からまっ白のけむりは出てきませんでしたが、代わりに5枚のカードと1枚の紙切れが出てきました。
「おおっ、これは」
紙切れには、こう書かれていました。
「接待用に1パックで出るカプテテフを差し上げましたが、帰りにこっそり返してもらいました。あなたにはこのキラもグッズもないパックがお似合いですよ」
確かにカードは5枚とも毒にも薬にもならないコモンとアンコだけでした。
かれのミスティックハートはもうこなごな。
浦島は絶望し、憤慨し、ぎゃくじょうしました。
あの楽しかった竜宮での三年が、次から次へと憎らしい思い出に変わっていきます。
「ああ、わたしは、竜宮へ戻らねばならぬ。家族の、そして友人たちのかたきを打つのだ」
お門違いもいいところですが、浦島はまたひとつ、新しい目的を見つけました。

竜宮にふくしゅうすべく、感情に任せて大暴れする浦島を、周りの子どもたちは嘲笑していました。

それはヨボヨボのおじいさんになるまで続いたのでした。

ターンエンド。
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